沖縄では夏の食材としてなーべーらーがあります。
巨大なサイズに育てて、入浴に使うということは全く思いつきません。大きさは食用として育てられた小ぶりのもので、意外にあっさりとしていますが、好きな人と嫌いな人とにはっきりと分かれる傾向があります。茹でて脂を落とした豚肉の三枚肉(ばら肉)をカットして入れたり、島豆腐を入れて、味噌で味付けするのが一般的です。
昔の人は「どぅー汁で煮る」という表現を使って子や孫に伝えてきました。どぅー汁とは、なーべーらーそのものから出てくる汁という意味で、水を入れずに調理するということ。
包丁かピーラーで皮を剥き、1.5cmくらいの厚みにカットしたあと炒めます。器に盛られて食卓へ供されたなーべーらー料理は、どぅー汁だけで調理されたとは信じられないぐらい汁気が出ています。そこに味噌が溶けて、独特の香りを醸し出します。
スーパーマーケットなどでなーべーらーが並ぶ時季は、だれでもが「夏」と「沖縄」を結びつけて意識する食材です。