イカナゴのくぎ煮

神戸には「イカナゴのくぎ煮」という料理があります。

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「イカナゴ」というのは春先に瀬戸内海でとれる小さな魚です。私が子供のころから、春になると必ず地元のお惣菜屋に「イカナゴのくぎ煮」が並んでいました。最近ではだんだんと有名になってきて、他府県でも知っている人も増えてきているようです。
しかし、地元神戸の人間にとっては「イカナゴ」は特別な魚なのです。それは「イカナゴ漁が解禁になると春が来る」と思えるような、「春を連れてくる魚」なのです。そして取れたてのイカナゴが入荷するようになると、スーパーや鮮魚店では「イカナゴ」を2キロ、3キロと買う人たちが大行列を作ります。またスーパーにも「今日のイカナゴは○時頃に入荷予定」というようなお知らせが張り出されます。
で、料理ですが、イカナゴにしょう油、みりん、ショウガなどを入れてコトコトと煮て、水分をすべて飛ばしてしまって出来上がりという料理です。出来上がったイカナゴの形が曲がった釘に似ているので「くぎ煮」という名前が付いたといわれています。
簡単そうな調理法ですが、焦がさないようにうまく全てのイカナゴを煮るにはそれなりのコツがあるらしいのです。まだ家で作ったことはありませんが、母や祖母が昔よく作ってくれていました。その時は確かに、ずっと鍋の前に張り付いて、煮具合を確かめながら調理をしていました。
またそれぞれの家庭で「作り方のコツ」というものがあり、隠し味として入れるものや、煮方にそれぞれの「秘伝」があり、母から娘へと引き継がれているようなところもあります。
たくさんの量のイカナゴを煮て、遠くの親せきに送ることも一つの楽しみとなっているようで、「今日は2キロ、明日まだ親戚に送る分で3キロ作らんといかん」というような会話が、行列からはよく聞こえてきます。
そんな「イカナゴのくぎ煮」なので、昼間から調理をする家が多く、買い物帰りに住宅地の中を歩くと、あちこちからしょう油やみりん、ショウガを煮ているにおいがしてきます。そんな香りがするようになると「ああ春が来たんだなぁ」と思います。イカナゴのくぎ煮の香りは桜より先に、「神戸に春を知らせる香り」なのです。

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